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今回のTips&Tricksのテーマは、Operatorに搭載されているLFOセクションの秘められた可能性について掘り下げて見ていきます。LFO(Low
Frequency Oscillators:ローフリクェンシーオシレータ)は何年もの間、サウンドシンセサイズの必須ツールとして、親しまれてきました。LFOは音色に周期的な変化をあたえる事で、アコースティック楽器などに見られるようなボリューム変化を再現します。しかしその一方で、LFOを使用して世の中に現存しない効果や奇妙な空間ノイズなどを簡単に作成することもできます。これからご紹介する例で、OperatorのLFOコントロールとその他の特別な機能を使用した、エイリアンマジック効果を体験できる事でしょう。Operatorの出現によって、FMシンセシスの習得はかつてないほど簡単になりました。これらの例を実践することで、インスピレーションが沸き上がり、新たな創造の道が開けてくるでしょう。そして、ご自身のソニックテクスチャーをより簡単に、より素早く、より意図したものが作成できることでしょう。
LFOについて
通常、LFO波形の周波数はとても低いものです。もしその出力音を聞く事が可能ならば、音階のある音ではなく、むしろリズミックなパルス音として確認できる事でしょう。何十年もの間、シンセサイズマニュピレータはこれらの低周波のオシレータをシンセサイザーの他のパラメータ;例えばピッチやボリュームなどに影響あたえて(またはモジュレート;変調して)音を作ってきました。LFOはピッチにルーティングすればビブラート効果が得られ、アンプリチュード(ボリューム)に影響をあたえればトレモロ効果が得られます。Operatorに搭載されているLFOエンジンは、よく知られている多くLFO効果以上のものを供給します。おそらくいくつかは既存の分類には無い、新しいものになります。
FMシンセシスの基礎構造
OperatorのLFOエンジンの可能性を明確に理解する為に、まずFMシンセシスの基礎構築の原理について見ていくことにします。Operatorは4つのオシレータ(通常、FMシンセサイザーではオペレータと呼びますが、ここでは製品と混合しないためにオシレータと呼びます)を使用して、それぞれを単独もしくは組み合わせて、様々な音を生成します。アルゴリズムはオシレータの組合せ方を決定します。FMシンセシスでは、あるオシレータを他の特定のオシレータをモジュレートしたりすることが可能です。このアルゴリズムの選択による、オシレータへのモジュレーション効果は、LFOによるモジュレーションとは全く異なります。最も基礎的なアルゴリズムは、純粋な“加算”シンセシスで、4つのオシレータは“キャリア”(FMシンセシスではモジュレーションされるオシレータを“キャリア”呼びます)として、それぞれ独立して音を出力します。このアルゴリズムで、全てのオシレータをオンにした場合、それぞれのサウンドは他の倍音成分に影響をあたえる事無く、独立して出力されます。
OperatorをLiveセット追加しましょう。MIDIトラックにドラッグ&ドロップして追加すると、デフォルトで“ファクトリーセッティング”プリセットが自動で設定されます。グローバルセクション:次の図例に示されている箇所(Operatorの画面右下)をクリックして、このセクションの詳細設定をOperatorの画面中央のディスプレイに表示させます。

次に、4つのオシレータが横一列に並んだ、アルゴリズムをクリックして、選択します。

各オシレータはそれぞれのセクションの右端のボタンでオン/オフできます。ここではAとBの2つのオシレータのみ有効にして、CとDはオフにします。オシレータBのレベル(Level)コントロールをクリックして選択したら、コンピュータキーボードのデリート(delete)キーを押します。この操作で、選択されたパラメータの設定値を素早く初期化できます。
LFOのセクションのLFOラベルの下の四角ボタンをクリックして、LFO機能を有効に(オレンジ色に点灯)します。レート(Rate)パラメータを約10時前後の位置に、モジュレーション(Mod)量を12時前後の位置に設定します。
デフォルトの状態では、LFOはオシレータのピッチをモジュレートします。従って、ここではオシレータAとBはLFOのサイン(Sine)波形によって、音程がスムーズに上下する結果となります。それでは次の図例のようにディスティネーション(Destination)の設定を変更して、オシレータAだけにLFOがかかるようしましょう。

オシレータAとBは共にサイン波を生成し再生しますが、オシレータAのLFOによって音程が上下し、オシレータBのピッチは固定のままのサウンドが確認できます。
では全ての設定をそのままにして、グローバルセクションをクリックして、ディスプレイからアルゴリズムを次の図例のようにデフォルト(オシレータが縦一列に並んだもの)に設定します。
ここで、アルゴリズムによる音の違いを認識できるでしょう。2つの独立したピッチのサウンドはシングルピッチになり、より無調のものになりました。これは、前ステップで設定したLFOが音程に対して直接影響をあたえていたのが、倍音成分に影響をあたえるようになったためです。このことはFM(Frequency
Modulation)シンセシスの核となる概念であり、不可聴のオシレータ(モジュレーターと呼びます)の波形が、可聴のオシレータ;キャリア波形の倍音成分に影響をあたえて変化させた結果です。LFOはこの変化を時間の経過に沿った周期的なものにします。このシンプルなパッチを使用し、LFOのRateとModコントロールの設定をいろいろな値に変更して、LFOの影響を確認してみましょう。また、オシレータBのLevel(ボリューム)を操作して、どのようにオシレータAに影響を及ぼすのかを確認します。

聞こえますか?(5番目のオシレータ)
OperatorのLFOエンジンは非常にワイドレンジで実際、可聴可能な5番目のオシレータとして使用することができます。前述の通り、もしLFOの出力が可聴できるのであれば、音程のあるサウンドではなくリズミックなパルス音として聴こえることでしょう。これはLFOより発振される波形の周波数が非常に低い為、鼓膜から伝達できないほど非常に遅く、人間の脳が音として認識できる範囲を外れてしまうためです。波形の周波数が高くなるにつれ、音程のあるサウンドとして認識されます。これはOperatorにおいても同様で、OperatorのLFO自体の音は直接聴く事はできませんが、LFO波形が秒間40から50回以上の繰り返し(通常この回数をヘルツまたはHzと呼びます)設定をした場合、可聴可能な“キャリア”オシレータとしてルートされます。このリズミックな鼓動はrateコントロールをスピードアップすることで、個々の独立した“スイープ”音は認識できなくなり、2次ピッチとしてオリジナルオシレータと重ね合わさります。次の手順を実践してみてください。
アルゴリズムを再び、オシレータが横一列に並んだものに戻してリセットします。LFO波形をサイン(Sine)に設定して、この例を始めます。(LFOのdestinationはオシレータAのみが設定されているままにします。)波形選択メニューの右横の(図例のように赤く点灯している)L(Low)ボタンを押して、LFOレンジをH(High)に変更します。ノートを演奏しながらRateパラメータを調整します。
LFOレンジをHに切替えても、設定値が低いうちは、LFO周波数はまだ可聴範囲に達していません。しかしながらRateコントロールをあげていくにつれ、可聴範囲に到達しますので、結果としてオシレータをもう1つ追加したのと同じ効果が得られます。さらにModコントロールは、この擬似的なオシレータのボリュームコントロールとして、Rateはピッチコントロールとして動作します。
LFO Mind Tricks(LFOの潜在的な用途)
上記の現象において、もう一つの潜在的な興味深い結果がえられます。このLFOは不可聴オシレータである“モジュレーター”にも影響をあたえます。これはアルゴリズムを再度切替える必要があります。現在の設定をそのままにして、デフォルトのアルゴリズム(オシレータが縦一列に並んだもの)に戻します。LFOスピード(Rate)を40から50Hzに設定します。我々の耳にはもはや独立した周期的なスイープ音は聞こえません。しかし、倍音成分が周期的に変化する固定波形が聴こえるようになります。OperatorのLFOレンジ;LとH(Low
とHigh)を再度切替えて、その効果を確認します。この赤いLとHのレンジトグルスイッチを切替えながら、Rateコントロールを操作してみてください。

これらのパラメータを操作しながら極端なオクターブレンジでノートを演奏すると、リングモジュレータを使用したような、無調のカーンとした感じのサウンドテクスチャーを生み出します。Modパラメータを上げることでこの効果がより強調されます。
Shape Shifter(シェイプシフター)
2−3ステップで実現する、より複雑な例をご紹介します(変化を明確にわかるように様々なオクターブで演奏してみましょう):
再び、現在の設定はそのままにして、オシレータCとDを有効にします。それぞれレベル(Level)を-13dBと-18dBに設定します。これまでにも触れてきましたように、“モジュレートする”オシレータのレベル設定は、“キャリア”や可聴オシレータにあたえる影響量をコントロールします。

LFOタイプ(波形)をプルダウンメニューから矩形波(Square)を選択し、レンジをLに設定します。そしてRateとModコントロールを12時の方向に設定します。(次図参照)

いくつかのノートを演奏するとサイン波形のLFOスイープ効果が、アラームのような矩形波による効果に置き換わっていることが確認できます。
さあ、ディスプレイに表示されているLFOセクション詳細設定から、オシレータB、C、DのDestination設定を再度有効にします。(次図参照)

演奏しながらdestination設定で、それぞれのオシレータに対してオンまたはオフにして、そのサウンドの変化を確認します。実際に様々な組合せを実践してみましょう。

殆どの例において、LFO波形をサイン波に設定し、可聴波形への影響を確認してきました。次に選択可能な全てのLFO波形で、その効果を確認します。次の図例ではS&H(サンプル&ホールド)波形が選択されています。
更なるコントロール
これら全てのボタンとノブはLiveのMIDIマッピング機能をよってMIDIリモートコントロールできます。更に、モジュレーションホイールのようなMIDIコントローラをLFO
Rateコントロールにアサインすれば、倍音成分をリアルタイムにコントロールすることができます。次の図例では、異なる3つのコントロールを設定した状態を表しています。

ユニークな機能
Operatorは、他にはないエンヴェロープによってLFOパラメータが変化する特別な機能が搭載されています。まず、手始めにLFOのRateとModを12時の方向に設定して、LFOレンジをLにします。イニシャル(Initial)、アタック(Attack)、ディケイ(Decay)、リリース(Release)ハンドルをドラッグして、操作してみましょう。この操作はもちろん、発音中に動かすことが可能で、即座に音への影響を確認できます。コントローラの操作や演奏をしている間、LFOのDestinationボタンやオシレータのオン/オフボタンも忘れずに操作してみてください。また、アルゴリズム、LFO波形、LFOレンジを切替えて、更なるサウンド変化を探求しましょう!

ロジカルループ:モードとそのパターンにあたえるユニークな効果を理解する
OperatorのLFOに搭載されたもう1つの特別な機能として、LFOエンヴェロープを周期的にすることができます。これによりエンヴェロープポイントの設定で特定のLFO効果の一部分をつまんで、よりリズミックで複雑なサウンドを作り出せます。
まず、アルゴリズムを横一列に並んだものに設定し、オシレータAのみを有効にします。LFOレンジをLに設定して、LFO波形を矩形波(Square)に設定します。Rate、Mod、エンヴェロープ設定を図例のように設定します。

オシレータAによるサイン波形が、矩形波の効果によってシンプルなアラームのように聴こえるはずです。
ディスプレイ表示の左下の(LFOの)エンヴェロープループ(Loop)モードをNoneからLoopに設定して、Timeパラメータを次の図のように設定します。
LFOのディケイ(Decay)ハンドルをクリックして、そのまま左下方向にドラッグして、図例のように設定します。(音を再生しながら設定したり、図例のように各パラメータに直接数値入力するのも設定手段の1つです。)

TimeとDecayの両方の設定を探求します。(これが、エンヴェロープループポイントとなります。)また、ループは簡単にビートシンクやソングテンポにロックできることも見逃せない大切なポイントです。LoopをSyncに設定し、Repeatを1/24に設定してみましょう。
これで、短いパルスが(マスターテンポの)クロックにロックされ、繰り返されていることでしょう。Repeat値を変更して、他のオシレータをオンにしたり、アルゴリズムを変更したりして、自由に操作してみてください。
A Pitch in Time(ピッチインタイム)
エンヴェロープは基本的にオシレータピッチに対して適用し、ピッチエンヴェロープと呼ばれます。このエンヴェロープはLFOにもルーティングすることができますので、結果としてLFO
Rate(周波数)に、時間に沿った変化を加えることが可能になります。Rateの変化は、ピッチエンヴェロープのパラメータをグラフィカル操作することで設定できます。それでは実際にサンプル例を実践してみましょう。
Operatorをファクトリーセッティングの状態にリセットします。グローバルセクションをクリックして、デフォルトの(縦一列に並んだ)アルゴリズムを選択します。LFOをオンにし、RateとModコントロールノブを12時の方向に設定します。LFOはオシレータAのみにルーティングします。今回はLFO波形のSwDownを使用します。オシレータBは図例のようにレベルを-17dBに設定します。

不可聴のオシレータ“モジュレーター”のレベル設定は可聴オシレータ“キャリア”への影響をあたえる、モジュレーション量となります。時として、低いレベル設定の方が穏やかな結果を得る場合に有効です。
次の図例はこれまでの設定を示したスクリーンショットです。

次に、ピッチエンヴェロープ(PitchEnv)セクションの四角いパワーボタンをクリックしてオンにします。ディスプレイ表示は、これに反映してピッチエンヴェロープがアクティブであることをあらわします。全てのオシレータのdestinationsをオフにして、図例のようにLFOをアクティブにします。
ピッチエンヴェロープ(Pitch Env)コントロールを100%に設定し、パラメータハンドルをドラッグして、図例のようにエンヴェロープを設定します。

イニシャル(Intial)、アタック(Attack)とディケイ(Decay)コントロールはエンヴェロープカーブ表示下の数値部分に直接入力して、設定する事も可能です。ピッチエンヴェロープはすべてのノートオン情報に反応して、ダイナミックなレート変化を演出します。次に前述のエンヴェロープループ機能を用いた例を見てみましょう。
ループモードの設定をLoopにすると同時にTimeパラメータが100msに設定されます。ピッチエンヴェロープのアタックとディケイは短く設定され、ボルテージコントロールタイプのシーケンサーのような結果が得られます。もちろんこのエンヴェロープループはビートやソングクロックに簡単に同期する事もお忘れなく!
Close Encounters(接近遭遇)
今回のLive Tips&Tricksでは、FMシンセシスやLFOの神秘的な世界を紹介しながら、Liveと一緒に使用するための新しい着眼点でみてきました。ここで紹介した例はほんの始まりに過ぎません。これらの操作、機能や概念を習得する為の王道はとにかく試すことです。また、ご自身で作成したプリセットは、ユーザープリセットとして保存できますので、気に入った設定はどんどん保存しましょう。(Operatorの画面右上にあるフロッピーディスクのアイコンのボタンを押すと、ユーザープリセットを保存できます。)
もし、このチュートリアルを実践する際に、迷ってしまった場合、LFOの部分とOperator全体の操作とをわけて体験する事おすすめします。
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